司会役の日本人1人に対して、学生は3人~7人程度。椅子だけを円の形にならべて、45分会話します。
何について話すかは何でもいいです。
話題に上がったことから、お互いに質問を繰り返して、また次の話題に移っていって、話したい事を話します
日本語学校の(特に初級の)授業は、どちらかと言うと、頭の中に日本語を入れる時間が多くなる。
インプットの時間。
でもインプットばかりでは、テストで点は取れても、日本語が使えない。
いつまでたっても、日本語が使えるようにならない。
彼らが日本語を習うのは、日本で生活していくため。
日本語を運用するため。
でもインプットだけで終わっていては、いつまでも運用には至らないのです。
たとえば 「書く」 という技能。これも同じアウトプット。
「書く」は、自分のペースで出来ます。間違えたら、書き直せばいいし、書いたものをもう一度読み直す事もできるし、
でも、「話す」 は、リアルタイムで、今頭の中にある情報を、今言葉にして伝えなければならないんです。
そして会話だったら、それを受け取る側、「聞く」人もいるはず。
この「聞く」人は、今言われた事に対して、今反応を示して、今リアルタイムで返答しなければならないんです。
してこの「話す」「聞く」を使った会話は、キャッチボール。
相手の言った事を受けて、自分が返す。
実は日本語が、話せて、聞けても、このキャッチボールができない外国人は、結構多いです。
たくさん話してるのに、会話がかみ合っていないというやつ。
こんな事を会話サロンで、ちょっとでも練習できればいいと思います。
司会者の日本人の役目は、前述した会話サロンのルールが守られて、会話がうまくいくように、時々は軌道修正したり、
交通整理したり、話が終わったら話題を変えたり、こんなことをして頂きます。
ところで、日本人の司会役の人が、外国人の学生よりたくさん話すのは、あまり上手な司会とは言えません。
いい司会者は・・・
学生がたくさん話すような雰囲気を作って、
学生が話しやすそうな話題を選んだり拾ったりして、
会話がスタックしそうになったら、言い換えたり、例を出したりしてわかりやすく噛み砕いてあげたり。
会話がわかりにくそうな人や、会話について来られなさそうな人がいたら、ついて来られるようにフォローしてあげたり、
こんなことをします。
そしてこれは、日本語の授業でも必要な力だと思います。
特に昭和の時代の先生は、50人近い人数のクラスの中で、「私の言う事を聞きなさ~い。」と話をして、全員に聞かせる、という先生が多かったのではないかと思います(もちろん科目や学校のスタイルによって違うと思いますが)。
でも日本語学校の日本語教師が、これと同じでは困ります。
学生は黙って、朗々と語る先生の話をずっと聞いて、理解する・・・できるわけがありません。
レベルにもよりますが、そんな情報獲得能力、まだありません。
それよりも、学生自身が日本語を、聞いて話して書いて読んで・・・
こういったクラス活動の中で、日本語を運用する力もついていくのです。
そしてクラスの学生は20人。
この20人の学生に教室活動をさせながら、教師は、
会話サロンの5人足らずの学生を見分けることができなければ、
クラスの20人の学生なんか、引っぱっていけるはずがありませんよね。
その他にも語彙コントロールして話すとか、
わかる言葉に言いかえるとか、
〇だったらほめてあげて、×だったら気づかせてあげるとか、
これ、先生だったら全部授業で必要な力なんですよ。
だから会話サロンでは、
先生の卵の方たちが、まさにこれらの課題を克服すべく、がんばってボランティアをやってくださっているのです。
そして、その課題克服がうまくいっているかどうか、45分間の中の5分間だけ、当校の教師が拝見して、チェックして、後ほどFBします。
これ、教室内で実際に授業を行って、リーダーシップを発揮する時に、きっとお役に立つと思いますよ。
だって、卵たちが会話サロンでやらかしている失敗は、デビューした後、授業でも必ずやらかしてますもん。